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”まち”で生まれた”もの”を知る〜生野区を盛り上げるものづくり企業を紹介〜vol.1  高橋製菓の高橋利明さん

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”まち”で生まれた”もの”を知る
vol.1  高橋製菓の高橋利明さん

多様な顔を持つまち、生野区。実は約2000社のものづくり企業が集結する“ものづくりのまち”でもあります。

 ひとことで「ものづくり」と言っても、誰もがよく知る製品から、ユーザーが普段目にすることはない小さなパーツまで、そのあり様は様々。この企画では、あらゆるMADE IN IKUNOに目を向け、生野に根付いた「生み出す力」に迫ります。

 そして長きに渡りこの”まち”で、ものづくりをしてきた人たちは、”まち”をどう捉え、どんな未来を思い描いているのか。生野のものづくり精神を探るインタビューシリーズ。第1回は、65年以上このまちであられをつくり続ける高橋製菓さんを訪ね、社長の高橋利明さんにお話を聞きました。

高橋製菓さんは1957年に生野の地で創業したあられメーカー。創業者は現社長のお父様です。彼は若い時に食べたあられの味に「こんなにうまいものはない」と感動し、あられづくりの職につくことを決意。神戸での修行を経て独立する際に準工業地帯である生野を選び、以来この地で独自のあられづくりを確立してきました。

 2代目である高橋社長は、幼い頃からあられの販売を手伝うなど家業に親しんで育ちました。漫画家として活動した後、35歳で高橋製菓に入社。先代の意思を引き継いで、今でも創業時からほとんど変わらない製法であられづくりを続けています。

高橋製菓さんのあられは、7日間人の手をたくさんかけてつくり上げられる「まじめなあられ」。厳選したもち米のみを使用しており、味付けの醤油も自家製です。あられづくりの現場を見学させてもらうと、ちょうど揚げたてのあられにカレー味のシーズニングをかけているところでした。大きなドラムであられを回しながら、手作業で満遍なく味付けする工程です。特別に出来立てを一ついただくと、本格的なカレーのスパイスと、出汁のような落ち着いた旨味がふわりと口に広がりました。「このカレー味のシーズニングの開発には苦労したよ」と高橋社長。ただ辛いだけではないカレーを追求し、この旨味を引き出すのに何度も試作を重ねたそうです。

高橋製菓さんのあられの魅力は、味だけではありません。高橋製菓さんのお店には、動物や植物などをモチーフにした個性的なあられがずらりと並びます。形や色にもこだわった「見ても、食べても楽しめる」創作あられの製造を強みとしているのです。あられはいくら綺麗に形成しても焼き上げると変形するうえ、壊れやすいため、誰が見ても「〇〇の形だ!」と思えるようにすることは容易ではありません。しかし創業者は「どうやってつくんねん?」という形にも挑戦する姿勢と、それを実現する創造力を持っていたと高橋社長は振り返ります。表現の幅を広げるべくツートンカラーのあられも開発し、現在も「季節を感じられるあられづくり」をブランドのこだわりとしています。

創業以来生野のまちであられづくりを続けてきた高橋製菓さんは、長年地域との繋がりを大切にしてきました。2ヶ月に1度、2日間連続で開催する直売会は、今ではチラシを用意しなくてもたくさんの常連さんで賑わうほど地域の楽しみのひとつになっています。またお正月には自慢のお餅を振る舞うのが先代からの恒例行事です。高橋社長も子供の頃からお盆やお正月には決まって手伝いに駆り出されていたことをよく覚えているといいます。

 そんな地域に根ざしたあられ屋の後継となった高橋社長は、このまちをどう見ているのか。生野のものづくりの魅力についてきいてみると「みんなおもろいことをしようという余裕がある。それは、高い技術を持っているからこそだと思う」と語ってくださいました。「手が汚れるような仕事ばかりだけれど、自分たちの技術に誇りを持っている企業がたくさんある」。もちろん、高橋製菓さんもそんな“ものづくりのまち”生野の一員です。「ユニークなあられ」という高橋製菓の個性を確立した創業者からのバトンを引き継ぎ、「食べておいしく・見て楽しく、ワクワクする商品作り」を極めようと歩みを進めています。

これからは社員のみんなでアイデアを持ち寄って、商品の新しい魅せ方を打ち出していきたいという高橋社長。昨年は製造チームが考案した新商品「キャラれ缶」を発表しました。「キャラクター」と「あられ」をかけたこの商品。キャラクターのデザインは元漫画家である高橋社長が手がけました。あられの味を表現したキャラクターが彩るパッケージと、「キャラクターカードが1枚ついてくる」という面白みが人気でした。

そんな新たな一歩の背景には、商品開発や展示会・催事への出店に積極的な社員の存在があるといいます。「あられ1本でやってきた先代は、強い意志を持って自分で成し遂げるタイプの人。80歳を超えても現場に立ち、最後にはみんなが難しいと思っていたカニのおかきを完成させました。自分は自分のやり方で、スタッフのみんなと力を合わせて面白いものをつくっていきたい」と高橋社長。

最近は生野のものづくり企業同士の繋がりもでき、刺激を受ける中で、生野内でのコラボレーションも実現してみたいと考えています。「あられで人を楽しませたい」創業時から変わらないその想いとともに、高橋製菓さんのユニークな挑戦はつづきます。

高橋製菓株式会社
昭和32年創業の大阪市生野区のあられ・おかき・米菓の製造販売会社です。国産の原料にこだわり、ふぐ焼きや風流木の葉など創作あられを作っております。
高橋製菓さんHP:https://www.takahashi-seika.co.jp/ 
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