EXPOいくのヒートアッププロジェクト マンスリーヒートアップ企画者に聞く~第1回「ゆるっとさっくすあんさんぶる交流会」 Leeサックス教室 李由貴さん~
万博をきっかけに、まちの熱量をあげる『EXPOいくのヒートアッププロジェクト』。
今年は『マンスリーヒートアップ100』として9月15日~10月20日の1ヶ月間、生野区各地で、生野区を盛り上げたい人たちによる様々なプログラムが開催された。そのプログラムの企画者に、どうしてこの企画を立ち上げたのか、また良かったことや苦労したことなどをインタビューする企画『マンスリーヒートアップ企画者に聞く』。
第1回はサックスアンサンブルの企画を立ち上げた李由貴さん。
~誰でもサックスアンサンブルを楽しめる機会と いろんな世代が交流できる場作りを~
きっかけは生徒さんの声
『NO.20 ゆるっとさっくすあんさんぶる交流会』を企画したのは大阪メトロ今里駅から歩いて10分の所にあるLee サックス教室を経営する李 由貴さんだ。李さんは、教室に通う生徒さんから「吹奏楽部に入っているけれど、サックスアンサンブルをしたことがないので、やってみたい」といった声や、「吹奏楽部の練習が厳しくてサックスを辞めたい」と泣き出す生徒さんを見かけることが度々あった。そんな姿を見て、李さんは「せっかく好きで始めたサックスを辛いものにしてほしくない」と強く感じ、彼らのために「シンプルにサックスだけを楽しめるサックスアンサンブルの会」を教室内で実施していた。
そんな時、YouTubeで李さんの演奏を見ていた知人から「『マンスリーヒートアップ100』で何か企画しませんか?」と声が掛かったそうだ。「自分の教室だけでなく、地域の方々も参加できるサックスアンサンブルの会を開催しようと思った。学生時代に吹奏楽をやっていた方や、結婚してから音楽を離れていたけれど再挑戦したい方、さらには最近サックスを吹けるようになってきた方など、様々な人が集まってシンプルにサックスアンサンブルを楽しむことができる場を作ることを目指そうと思った。」と李さんは当時を振り返る。
開催場所が見つかるかが心配であったが、マンスリーヒートアップでのご縁から、桃谷にある鶴栖山安泉寺の奥様が手を挙げてくれたことで解決した。日程も決まり、これにより『マンスリーヒートアップ100 NO.20 ゆるっとさっくすあんさんぶる交流会』の開催が正式に決定した。
メンバーが集まらず、一時は開催中止も検討
サックスには、音域の異なるソプラノ、アルト、テナー、バリトンの4種類があり、サックスアンサンブルといえば主にこれらを用いた四重奏(カルテット)が一般的だ。李さんはソプラノを担当し、テナーとバリトンは李さんの知り合いが引き受けることになった。順調に開催できるかと思われたが、アルトの演奏をお願いしていた生徒さんの都合が合わず、不参加となる事態が発生。代わりのメンバーを探すものの、なかなか決まらず、一時は開催中止も考えられた。
そんなある日、李さんのスマホにメッセージが届いた。彼女を『マンスリーヒートアップ100』に誘った知人からのもので、「趣味でアルトサックスを演奏している方がいるので、聞いてみたところ参加するそうです」と書かれていた。こうして『ゆるっとさっくすあんさんぶる交流会』初の四重奏メンバーが揃った。
サックスを通して繋がる喜び
プログラム当日に演奏する課題曲は、ディズニー映画『ピノキオ』の主題歌「星に願いを」と、美空ひばりさんの「愛燦燦」の2曲。まずは個別での練習が始まった。練習中は、楽譜を読めない方のために他のパートのメンバーが教え合いながら進めていく。この助け合いの姿勢が、参加者同士の絆を深める素晴らしい機会となっていた。
また、練習の合間には安泉寺さんが用意してくれた茶菓子で小休憩を取り、世代を越えた交流が生まれるのもこのプログラムの大きな魅力になっている。
いよいよ全体での演奏が始まった。演奏の途中、同じ会場の別の部屋で別のイベントの準備をしていたスタッフたちが、響いてくるサックスのアンサンブルの音色に魅了され、作業の手を止めて様子を見にやってきた。柔らかく心地よい音楽が空間を満たし、聴く者の心をつかんだ。やがて演奏が終わると、その場にいた全員が惜しみない拍手を送った。李さんが企画したプログラムは大成功に終わった。
今回参加した演奏者たちからは、「一人で吹くのとアンサンブルで吹くのでは全然違う。とても楽しかったです。」「また機会があればぜひ参加したいです。」といった嬉しい感想が寄せられた。
さらに、当日参加できなかった李さんのサックス教室の生徒さんたちからも、「次回もぜひ開催してください!」とリクエストが寄せられたという。
ゆるっとさっくすあんさぶる交流会のこれから
その後、『マンスリーヒートアップ100』の期間が終わって間もない11月、早くも第2回目の『ゆるっとさっくすあんさんぶる交流会』が安泉寺で開催された。
今回は、李さんのサックス教室の生徒さんたちも参加することができた。また、ママさんブラスバンドの経験がある方がInstagramを通じて申し込みをし、新しいメンバーで四重奏を行うことに。初めて顔を合わせるメンバー同士が一つの音楽を作り上げる、今回もとても暖かい交流の場となった。
さらに、李さんは参加費の一部は、安泉寺さんへ、残りは、その時に参加してくれた方々と話し合って、動物保護団体や、被災地などに寄付する形で運営していくことにした。(第1回目は盲導犬協会に寄付)、またこの取り組みに合わせてイベントの名称も『ゆるっとあんさんぶるチャリティ交流会』と変更した。
サックスアンサンブルを通じて、世代を超えた地域の方々とのつながりが生まれ、純粋に音楽を楽しむ場としての価値がさらに高まった。こうして第2回目も大成功のうちに幕を閉じた。
サックスアンサンブルを通して人と場を繋げ、誰かのきっかけを作っているそんな李さんに今後の展望を聞いてみる。
「そうですね。楽器をやっていたら何歳になってもいろんな人と出会えるのが魅力ですし、少子化の影響もあって学校の吹奏楽部だけではサックスアンサンブルができるメンバーが揃いにくい現状もあると耳にするので、今後も間違ってもいいので世代関係なく誰でも参加できるハードルの低い会にしたいです。いろんな世代が交流できて、いろんな地域の学校のこども同士の交流にもなりますしね。まずは定期的に参加しくれる人を10人、そこから15人になったらいいかな。もっといろんな世代が集まってサックスアンサンブルできるようになったら、発表会以外で人前で披露できる機会を作っていきたいです。ただ宣伝についてもっとやれることはあると思うのでまずは、地域の学校にDMを送らなきゃと思っています。」とインタビューに答える李さんの瞳はいきいきと輝いていた。